Kotist, Composer & Arranger Nozomi Miyanishi

- 宮西 希 オフィシャルサイト -

(8)聞きたいKOTO!

みなさんからのQ&Aです。質問・疑問などどんどんお寄せ下さいね!

《 しつも〜ん! 》

楽器の上の方で、ぐるぐる巻いて二つの輪にしているは何?なんでそうなってるの?
それは20絃に限った事なの?(山形県・ダイさん)
《 お答え! 》

あれは、箏の目です!ウソです、実際に張ってある糸の余りをぐるぐる巻いてあるんです。
13絃の箏も20絃も17絃も、すべてがそうなってます。ギターとかもそうでしょ?あれと一緒。もし絃が切れたときには、このグルグルの部分を伸ばして張ることになります。言ってみれば予備ですね。すべて同じ方向に絃が出るので、それをまとめて束ねているんです。なんで2つなのかって?だって大抵の動物だって目は2つあるでしょ?
ギターやバイオリンは、糸はネジに巻き付けてあり、そのネジを回すことで、絃を緩めたり張ったりする機能も兼ね備えています。
でも、箏は違う!楽器の本体自体に絃をかけているんです。つまり、絃は1度張ったら次の「糸締め」までテンション(絃の張りの強さ)は変えません。
でも、ホントに目に見えるでしょ?!だからキャラクタ−の「ことじろう」はあのような顔になったのです。




何でも見てるぞ〜!




《 しつも〜ん! 》

裏側ではどうやって絃が留まってるんですか?(匿名さん)
《 お答え! 》

楽器を立てた時に上に来る方では、上↑の質問に出てくる「箏のグルグルの目」の写真でも分かるように、1度表から穴を通して裏へ抜け、一番上からまわってきた糸は小さく結ばれて留まってます。留めた糸の余りを、「グルグル」にしてるってワケ!

反対に楽器の下の方では、「竜眼」と呼ばれる穴から裏側にまわった糸は、はじっこに玉を結び付け、抜けないような工夫をして、留まってるんです。
見えるかな?!






《 しつも〜ん! 》

普通、お正月とかに目にする箏の演奏風景では、箏は床にじか置きされてます。それにたいして宮西希さんは、シンセの様に台に設置して弾いています。
あの自作台は音の反射も考えられているとは思いますが、床置きと台置きでは、音の響きなどはどのように違うのでしょうか?録音は、もちろん台置きですよね?(Reiさん)
《 お答え! 》

普通、箏曲と呼ばれるものは床に直に正座して弾くスタイルが正式です。これを「座奏(ざそう)」と言います。赤い毛氈(もうせん)に金屏風という風景。この時楽器は、高さ10cmくらいの「猫足」というものをつけたり、「琴台(きんだい)←何故か箏台ではない」や「鳥居」と呼ばれるアーチ型の台に乗せて、少し高さを作ります。

近年「立奏」というスタイルも多くなって来ていますが、「立奏」とは言っても実際にはイスに座って弾くこと。その際に使われるスタンドを「立奏台」と言います。
音に関しては、完全に違います!音の厚みが、明らかに違います。



私は座っているけど、これが「立奏」というスタイル(楽屋にて)


箏の音は絃から出る音の響きが1番キレイなので、絃の上部の空間が1番いい音ですが、楽器の裏側にギターにあるようなホール(穴)があり、そこからも音はかなり出ています。

「座奏」(床に座って弾く)の場合、ホールから出た音はすぐに床にぶつかります。楽器から床までの距離がある方が、ホールから出た音は響きます。私のスタンドの左右をつないでいる2枚のナナメの板は、ホールから出た音達の、反響板の役割も果たしています。

でも、先に書いたように箏の場合、1番イイ音は絃の上あたりで鳴っています。むしろホールからの音を直接マイクで拾うと、ボヤ〜ンとしたこもった音になります。なのでステージでのマイクセッティングは、スタンドに乗せて、空気中の音を拾います。会場が、客席数千人などという広いホールの場合は、音量を増す為に、ホールの下からの音もプラスします。

絃楽器はみんなそうですが、倍音というものがたくさんたくさん鳴っているんです。人間の耳には「ド」とか「レ」とか1音しか聞こえないけど、いくつもの音が同時にワンワンと鳴っているんです。私のレコーディングはもちろん「お立ち台」によるスタンディング。楽器の上からも下からも出て来るたくさんの音の響きたちを、たくさ〜んのマイク達にぜ〜んぶ録るようにしてもらっています。

お作法とかお行儀とか考えると、座って弾くことの方が正しいかもしれません・・・。でも、音を第一に考えた時、立って弾くことが最高だと考えています。

それに、なんて言ったって、腰痛が一切なくなるのよ(^^)これはホントの本当!ちゃんとスポーツ医学に乗っ取ってしっかり専門的に考えられた結果なのです!
座った状態で弾く時、中腰になったり、そのまま左手で絃を押したり、それはそれは腰に相当の負担をかけています。立って弾くことで、足の自由が効く為、体重移動が簡単にでき、腰だけで支えるという無茶な姿勢は一切なくなります。体全体が使えるので動きもダイナミックになり、その分奏法や表現もより大きくできる気がします。

う〜ん、あと立って弾く利点は「見栄え」かな〜?
私、背がちっちゃいし・・・?




これがホントの立奏?私のスタイルです





《 しつも〜ん! 》

小学校の箏クラブでお箏を弾いています。
プロになるにはどんな曲を練習したらいいですか?
《 お答え! 》

箏でもギターでもピアノでもバイオリンでもどんな楽器でも、まず必要なのはクラシック、つまり、箏で言うと伝統的な筝曲・古典です。それが弾けないと話になりません。
だけどその先に、箏をつかって「どんな音楽ジャンルのプロになりたいか」考えることがポイント!
ギターでも、やりたい音楽がロックなのか、ポップスなのか、クラシックなのか、フラメンコなのかによって、練習内容や楽器の種類も違うのは想像つくでしょ?
箏でも、伝統的な筝曲がやりたいのか、主に一人の作曲家の曲を弾いていきたいのか、ポップスがやりたいのか・・・

私は、自分の作品を箏で弾きたい人です。

「一人の作曲家の曲を弾いていく」これは、ほかの世界にはなかなかない話で、筝曲界特融のものだとおもいます。
例えば宮城道雄の作品を主に弾く流派(というより会派)、沢井忠夫の作品を主に弾く流派(というより会派)、筑紫歌都子の作品を主に弾く流派(というより会派)みたいに分かれていて、ほかの曲を弾いてはいけないわけじゃないけど、あんまり弾きすぎると、自分のところの(所属している所の)曲をもっと大事にしなさいっくらいは言われるかも・・・(ただし古典は、いろいろな作曲家の曲を弾きます)

例えばピアノでも「私たちはモーツアルトを弾く流派です」「私たちはショパンを弾く流派です」なんて分かれていないので、とっても、ふしぎなせかいです。

さて、箏でもしポップスを弾きたいなら、古典筝曲だけでなく、西洋音楽の音楽理論を分かってないと難しいです。
理由は、邦楽(日本の伝統音楽)と洋楽(西洋音楽)は、日本語と英語のように使っている言葉も、音楽理論も違うから。
だから、技術は筝曲(伝統的な古典も現代邦楽も)で鍛えて、知識としては、西洋音楽の知識もしっかりつけること。これが1番、大事かな〜とおもいます。

あとは、頭とか理屈じゃなくて、体というかキモチで弾けるように、たくさん箏と一緒にあそんでみてくださいね!



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