Kotist, Composer & Arranger Nozomi Miyanishi

- 宮西 希 オフィシャルサイト -

(4)柱・爪のKOTO


柱(じ)

箏の上に白い三角山がいくつも並んでいるのは、写真でもお分かり頂けると思います。あれを「柱(じ)」、または「箏柱(ことじ)」と言います。
高さが約5.7センチくらいのこの柱を、動かすことによって音程が変化します。演奏の途中で、左手でスッスッと柱を動していることがあるでしょう?あれはチューニングを変えているのです。

普通の柱より小さいものもあります。一番低い音の絃にかけて、さらに低い音を作りたい時などに使います。小さいのでそのまま「小柱(こじ・しょうじ←地域や人によって言い方が違う)」と呼びますが、誰がいつ決めたのか、さらに小さい柱をいつのまにか「孫柱(まごじ)」って呼ぶようになっちゃっています。このあたりは、現代人ならではのユニークだと思います。

柱の材料は正式には「象牙」です。やっぱり音がイイ!響きがチガウ!でもすっごくお値段も高いし、なかなか手に入らないものなので、ほとんどがプラスチックです。これもいかに象牙柱に近付けるかとあちこちで研究・改良されました。でも、私も奈良の博物館で見たことがあるのだけれど、そもそも「和琴」では木の枝の、二股になっているところを、とんがっている方を上にして使っていたんです。これは、絃の張りがゆるいからできたことですね。




 
右が普通の「柱」 
左は1番手前の絃にかける特別な形をしています。
「巾」という糸名なのでこの柱を「巾柱」といいます。



右手の「親指」「人さし指」「中指」にはめます。象牙の爪に牛皮の輪がついています。この牛皮の輪は、自分のサイズに合うものを購入して爪とドッキング。自分で作ります。輪は消耗品です。

この爪というのが、「山田流」と「生田流」の違いが1番ハッキリ分かりやすいところ!「山田流」は先のとんがった山型の形をしていて、とんがった部分を絃に当てるために楽器に対して真正面に座ります。それに対し「生田流」の爪は四角で、その角を絃に当てたいがために、楽器に対して少し左斜向いて座るんです。

爪自体も、だんだん角が欠けて丸くなってきてしまうので、例えば右角の欠けやすい「人さし指の爪」を、右角は使わない「親指の爪」にまわしたり・・・と、いろいろ工夫して作り直したりします。象牙なので、こんなちっちゃい爪でも、結構いいお値段するのよ・・・、大切に長く長〜く使います。



 
どの指につける爪も、ほぼ同じ大きさ・形です。



(5)楽譜のKOTOに続く