Kotist, Composer & Arranger Nozomi Miyanishi

- 宮西 希 オフィシャルサイト -

(2)KOTOの種類

 箏

普通の「箏」、つまり「さくらさくら」や「春の海」などを弾く、いわゆるスタンダードなカタチの「箏」は、絃が13本あります。
これは、日本音階=5音階で調絃(チューニング)されていて、13本しかないのに、2オクターブ半の音域を持っています。
日本的なフレーズを弾くにはこれで充分です。基本的な調絃(平調子)は「D・G・A・♭B・D・♭E・G・A・♭B・D・♭E・G・A」

絃には1本1本名前があり、演奏者側から見て1番奥が「一」、そのまま手前に向かって「二、三、四、五、六、七、八、九、十」まで続き、「斗(と)、為(い)、巾(きん)」となります。
なぜ最後の3つだけ数字じゃないかというと、昔「仁智礼義信文武斐蘭商斗為巾」と表していたその名残です。
大きさは、高さが185cmくらい、幅は30cmくらい。
ちなみに絃の太さは13本ともみんな同じです。

「箏」は昔から「尺八」や「三味線」と合奏します。この3つの楽器での合奏形体を「三曲合奏」といいます。よく、地域に「○○市三曲協会」というものがありますが、あれは「箏・尺八・三味線」の集まりということなんです。
ちなみに、ここでいう三味線は「地唄三味線」のことを言います。「津軽三味線」や、歌舞伎音楽として使われている「長唄三味線」とは、楽器の種類(棹の太さ・面の大きさ・バチの大きさ・弾き方など)や音楽のジャンルがまったく違います。
例えば同じ「ギター」でもロックギターがあったりフラメンコギターがあったりするのと、ちょっと似てるかな?
この地唄三味線は、三味線専門の演奏者というより、たいてい箏を弾く人間が演っているんです。つまり、「地唄」に関しては、「箏」も「三味線」も両方できなくてはいけないし、弾けてあたりまえなんです。


十七絃

三曲合奏以外にも、箏同士の合奏形体がいくつかありますが、音楽に幅をもたせる意味でも低音が欲しくなってきます。
それを担うのが「17絃」という低音の箏です。

これは、「春の海」を作曲した宮城道雄が1921年に考案し、現在の邦楽シーンには欠かせない楽器となっています。読んで分かる通り、17本の絃がはられていることから十七絃と呼ばれています。

箏に比べて長さもあり(210cmくらい)、太さもデブ(35cmくらい)。絃の太さは箏よりかなり太く、均一ではありません。そして柱も太くて大きい。使う「爪」も箏を弾く時よりは、厚めのものを使います。チューニングは日本音階ではなく、基本的にはドレミ・・・で並んでいます。
よく言われているのは、この「17絃」という楽器は「バイオリンに対するチェロ」ということで、箏の伴奏としてだけではなくソロ楽器としても使われています。でも、箏と比べて奏法に多少無理があるものもあります。

ちなみに、「十七絃奏者」として名乗っておられる方もいらっしゃいますが、だからといって「箏」を弾かないわけではありません。「箏」を弾く人が「十七絃」も弾くという感じかな?洋楽で言うと「チェロ」の人はバイオリニストではないけれど、邦楽の世界では、いろんな楽器ができて当たり前なんです。


二十絃

近年になって作られた新しい楽器で、私が主に使っているのがこの楽器です。出来た当初の絃の数は本当に20本だったのですが、翌年には21本に改良されました。でも、今でも「二十絃」という名前で定着しています。

本来の箏(13絃)が、5音階の日本音階で2オクターブ半並んでいるのに対し、二十絃は西洋音階で並んでいます。だから、音の数としては二十一あるけれど音域としては2オクターブ半、つまり、スタンダードな箏と音域は一緒なんです!
そして、日本音階も西洋音階も使える「音楽的バイリンガル」の楽器です。
民族音楽以外の音楽がすべてそうであるように、20Str.Kotoでは五線譜やコード譜を使います。
現在では、20絃の他にも25絃、30絃・・・と作られています。これらをまとめて多絃箏ということもあります。
 





私と比べてこ〜んな大きさ!



「箏」と「十七絃」の背比べ!



立って弾いてるのはこ〜んな感じ!





カヤグム(おまけ!)



 韓国の箏、「伽耶琴(カヤグム)」です。日本の箏より1本少ない12絃です。弾き方も日本の箏とは違いもあるけど、兄妹・・・従兄弟って感じかな?



(3)木・絃のKOTOへ続く